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脅迫罪とは?法定刑や構成要件を解説

弁護士 高嶺 航(大前・高嶺法律事務所) > 刑事事件 > 脅迫罪とは?法定刑や構成要件を解説

脅迫罪とは?法定刑や構成要件を解説

感情的なやり取りから相手を強く責めてしまい、自分が脅迫罪に問われるのではないかと不安になる方は少なくありません。

一方で、執拗な脅し文句を受け、どこに相談すればよいのかわからず抱え込んでいる被害者の方もいます。

SNSやLINEでの発言が罪に問われ得るのかを正しく知っておくことは、加害者側にとっても被害者側にとっても重要です。

本記事では、脅迫罪の構成要件と法定刑、対応の進め方を整理して解説します。

脅迫罪とは

脅迫罪は、害悪の告知によって相手を畏怖させる行為を処罰する犯罪です。

ここでは、刑法222条の条文と、混同されやすい強要罪・恐喝罪との違いを順に整理します。

刑法222条の規定

脅迫罪は、刑法222条1項に規定されています。

同項は、生命、身体、自由、名誉または財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金に処すると定めています。

なお、2025年6月1日施行の改正刑法により、従来の懲役刑は拘禁刑へと改められました。

同条2項では、脅迫を受ける本人ではなくその親族への害悪の告知も同様に処罰の対象とされています。

他の罪との違い

脅迫罪と混同されやすい罪として、強要罪と恐喝罪があります。

強要罪は刑法223条に規定され、脅迫または暴行を用いて義務のないことを行わせたり、権利の行使を妨害したりする場合に成立します。

恐喝罪は刑法249条に規定され、相手を畏怖させて財物を交付させた場合に成立します。

手段としては、強盗罪に至らない程度の脅迫または暴行が用いられます。

脅迫罪は害悪の告知そのものを処罰する罪であり、相手に何かを強いる行為や財物を取得する行為までは要件とされていない点に違いがあります。

脅迫罪の構成要件

脅迫罪が成立するためには、害悪の告知に加え、いくつかの要件を満たす必要があります。

ここでは、害悪の告知の中身、対象となる範囲、告知の手段を分けて確認します。

害悪の告知

脅迫罪の中心的な要件は、害悪の告知です。

告知される害悪は、生命、身体、自由、名誉または財産のいずれかに対するものでなければなりません。

たとえば、命を奪うと伝えること、暴力を加えると伝えること、社会的評価をおとしめる事実を広めると伝えることなどが典型例にあたります。

告知の内容は、一般人を基準として畏怖させるに足る程度のものであることが求められます。

脅迫罪は害悪の告知が相手方に到達した時点で既遂に達するとされており、相手が実際に怖がったかどうかは罪の成立に必須の要件ではありません。

対象となる害悪の範囲

告知される害悪は、告知者本人が支配し、または影響を及ぼし得るものでなければならないと解されています。

天災や偶然の事故のように人の意思で左右できないことを述べても、原則として脅迫罪は成立しません。

害悪が向けられる相手は、告知を受ける本人のほか、その親族にまで及び得る点も脅迫罪の特徴のひとつです。

告知の手段とSNS上の発言

害悪の告知は、口頭での発言だけでなく、文書や電話、メールなどさまざまな手段で行われることもあります。

近年は、SNSやLINEなどのメッセージアプリ上での発言が問題となるケースが増えています。

不特定多数が閲覧できる投稿への書き込みや、個別メッセージでの告知でも脅迫罪は成立することがあります。

匿名アカウントからの発信であっても、捜査機関の手続きにより発信者が特定されることがあるため、軽い気持ちでの書き込みも法的リスクを伴います。

脅迫罪の法定刑と量刑

脅迫罪の法定刑は、前述のとおり2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です。

個別の量刑は、告知内容の悪質性、回数や継続性、被害者との関係、精神的影響、示談の有無などを踏まえて、事案ごとに判断されます。

また、脅迫罪は親告罪ではないため、被害者からの告訴がなくても、捜査機関が事件を認知すれば公訴提起が行われ得る点にも注意が必要です。

初犯で被害が軽微な場合には罰金や執行猶予付きの判決にとどまることもありますが、悪質性が高いと判断された事案では実刑となるおそれもあります。

脅迫罪に問われたとき・被害を受けたときの対応

脅迫罪は、加害者側と被害者側のどちらの立場にあるかで取るべき行動が変わります。

ここでは、それぞれの立場での初動と弁護士に相談する意義を整理します。

加害者として問われた場合

ご自身の発言が脅迫罪に該当するのではないかと不安を感じている場合は、自己判断で連絡を続けたり、釈明のメッセージを重ねたりすることは避けたほうがよいことが多いです。

やり取りの履歴は証拠として残り、状況を悪化させてしまうおそれがあります。

身に覚えのある言動については、いつ、どのような状況で何を伝えたのかを時系列で整理しておきましょう。

そのうえで、できるだけ早い段階で、刑事事件を取り扱う弁護士にご相談ください。

事案によっては、被害者との示談交渉により、立件や処分の重さを和らげられる可能性もあります。

被害者として相談する場合

脅迫的な言動を受けている被害者の方は、まず安全の確保が優先されます。

受け取ったメッセージや録音、メモなど、害悪の告知が行われた事実を示す資料を保存しておきましょう。

身の危険を感じる場合は、警察への相談が選択肢となります。

そのうえで、告訴の検討や相手方への対応方針について、弁護士のサポートを受けることをおすすめします。

まとめ

脅迫罪は、生命、身体、自由、名誉または財産に対する害悪の告知によって成立する犯罪であり、法定刑は2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です。

SNSやLINE上の発言であっても成立し得るため、感情的なやり取りには慎重さが求められます。

刑事事件にお困りの際はお早めに弁護士にご相談ください。

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